オンラインストアにバーチャル試着(VTO)を導入すると、現場では実際に何が起こるのか。本レポートでは、推測やシミュレーションではなく、実測データをもとにその答えをお届けします。対象は、Genlookの試着ウィジェットを導入しているShopify 577店舗、2026年4月16日から6月30日までに完了した15万6,000件以上の試着セッションです。
本データは自社プラットフォームで計測されたファーストパーティデータであり、算出方法の詳細は調査手法に明記しています。すべての指標に固定アンカーを設定しているため、各種データの引用にもご活用いただけます。
主な調査結果
調査対象データ
- Shopify 577店舗(当四半期中に1回以上試着が完了したストア。ファッション、アイウェア、水着、シューズ、ウィッグ、ペット服など多岐にわたり、世界中の購入者が利用)
- 当四半期における完了試着件数:15万6,000件以上
- 試着されたアイテム:約5万9,000SKU
試着の9割はスマートフォンから
試着の90%がモバイル端末で行われています。 デスクトップPCは8.8%、タブレットはわずか1.2%にとどまります。
マーチャントにとっての示唆は明快です。バーチャル試着の使い心地を評価する際は、必ずスマートフォンを用い、一般的な通信環境でテストしてください。PCの画面上でどれほど滑らかに動いても、スマートフォンでストレスを感じさせる設計であれば、実際の利用シーンの9割を取りこぼすことになります。
1枚の写真から広がるコーディネート
試着機能は、一度試して終わりのギミックではありません。利用者の平均試着回数は1人あたり1.8回にのぼり、37.7%のユーザーが複数のアイテムを試着しています。同一セッション内に限っても、29%のユーザーが2回以上の画像生成を行っています。
最初の1枚さえクリアできれば、ハードルは一気に下がります。事実、試着時の写真選択の約61%で、すでにアップロードされた写真が再利用されています。最初の写真さえ登録されれば、あとはワンタップで別の商品を次々と試せるため、手軽な比較検討が可能になります。
ウィジェット起動からカート追加まで
ウィジェットを開いた27万5,000回以上のセッションにおけるユーザー動向は以下の通りです。
| ステップ | 割合 |
|---|---|
| 試着ウィジェットを開いた | 100% |
| 写真をアップロードした | 39.7% |
| 試着画像を生成した | 写真追加者の94.4% |
データから浮き彫りになるのは、「写真の用意」こそが最大の関門であるという事実です。写真を一度登録したユーザーは、ほぼ確実に生成まで進みます。最初の写真アップロードをいかにスムーズにするか(わかりやすい撮影ガイド、プライバシー保護の明示、過去写真の自動保持など)への工夫が、ファネル全体の離脱防止に直結します。
なお、このファネルは画像生成時点で区切っています。自分の試着姿を確認したユーザーの多くは、ウィジェット内ではなく、本来の購入動線である商品詳細ページに戻ってからカートに追加するためです。カート追加への純粋な影響を測るには、以下のセッション単位の比較が最も実態を正確に捉えています。
試着ありセッションのカート追加率は3.1倍
1回以上の試着が行われたセッションでは、**29.2%の確率でカートへの追加が発生しました。これに対し、試着が行われなかったセッションでは9.4%**でした(四半期中の1,600万回以上のストア訪問セッションに基づく計測)。
わざわざ自分の写真を使って試着するユーザーは、もともと購入意欲が高い層であることは確かです。したがってこの数値は、機能自体の効果と、購入意欲の高いユーザーによる積極的な利用の双方が合わさった結果といえます。いずれにせよ、バーチャル試着が購買意欲の極めて高い顧客を的確に引き止め、購入へと後押ししている事実に変わりはありません。
試着体験をリード獲得の接点に
試着プロセスは、メールアドレスの入力を促す絶好のタイミングを生み出します。ユーザーは生成結果を待っており、その画像を後から見返したいという明確な動機があるからです。第2四半期において、Genlookのメール収集機能を利用したストアでは、試着したユーザーの22.5%がアドレスを登録しました。入力フォームを目にしたユーザーに限れば、54%が登録を完了しています。
試着画像のSNSシェアと拡散
納得のいくコーディネートができると、誰かに見せたくなるものです。試着ユーザーの4.8%がシェアボタンをタップし、シェアを行ったユーザーは平均で2回以上(1人あたり2.3回)のアクションを起こしています。また、シェアをタップしたユーザーの61%が最後まで完了し、スマホの共有メニュー経由での送信やリンクのコピーを行いました。
知人から直接送られてくる「その人自身の試着画像」は、最も信頼性の高いクチコミ施策になります。このシェア行動は四半期中に236店舗で観測されており、特定のバズを起こした一部の店舗に限らず、幅広いストアで自然発生している行動です。
購買フローを邪魔しない生成スピード
- 生成時間(中央値):9.2秒
- 全体の95%が14.4秒以内に完了
- 生成成功率:98.6%
待ち時間こそが、試着が購買体験の一部として定着するか、単なる離脱ポイントになるかの分かれ目です。9秒前後であれば、ユーザーは商品ページにとどまって結果を待ってくれます。これが30秒以上かかってしまうと、ユーザーは別のタブへ移動してしまいます。
試着されている商品の内訳
| カテゴリ | 試着シェア |
|---|---|
| アパレル・洋服 | 87.4% |
| アイウェア(メガネ・サングラス) | 3.7% |
| スイムウェア(水着) | 3.5% |
| シューズ | 1.9% |
| 帽子 | 1.4% |
| その他(ジュエリー、アクセサリー、ウィッグ、ペット服など) | 約2% |
試着の需要は看板商品に集中する傾向があります。中央値ベースでは1商品あたり1回程度の試着ですが、当四半期で最も試着されたトップ商品は、単一アイテムで1,591回試着されました。この偏りは、多くのECサイトにおいて特定の人気商品に売上と返品リスクが集中している構造と一致しており、試着機能がまさに注力すべき重点商品で効果を発揮していることを示しています。
試着が活発な時間帯と曜日
利用のピークは夕方から夜間、そして週末に集中しています。時間帯としては15:00〜20:00 UTC(日本時間 0:00〜5:00)が最も多く、曜日別では日曜日が最も活発(四半期全体の16.3%)、水曜日が最も落ち着いた水準(13.0%)でした。曜日ごとの落差はそれほど極端ではなく、平日もコンスタントに利用されつつ、休日のリラックスタイムに利用が伸びる傾向が見られます。
※グローバル展開しているストア群のUTC(協定世界時)基準の数値であるため、各国の現地時間で見るとさらに明確な夜間ピークが現れます。実務的な観点では、カスタマーサポートが対応できない時間帯に試着トラフィックが集中するため、完全にセルフサービスで完結する使い勝手が求められます。
2026年第2四半期の要点まとめ
| 計測項目 | 2026年Q2 実績 |
|---|---|
| 稼働ストア数 | 577店舗 |
| 完了試着件数 | 156,000件以上 |
| 試着されたユニーク商品数 | 約59,000SKU |
| 生成時間(中央値) | 9.2秒 |
| モバイルからの試着割合 | 90% |
| 複数商品を試着したユーザー | 37.7% |
| 試着ありセッションのカート追加率 | 29.2% |
| 試着なしセッションのカート追加率 | 9.4% |
| メールアドレスを登録した試着ユーザー | 22.5% |
| 試着画像をシェアした試着ユーザー | 4.8% |
| アパレル商品の割合 | 87.4% |
調査手法・算出基準
- 集計期間: 2026年4月16日〜6月30日(初回となる丸1四半期の計測。今後も四半期ごとに最新レポートを公開予定)。
- 対象データ: 期間中にGenlookウィジェット経由で1回以上の試着が完了したShopify 577店舗。試着機能を導入するストアはトレンドに敏感なアパレル系が多いため、本数値はEC市場全体の平均ではなく「バーチャル試着を導入した先進ストア」の動向を示しています。
- データソース: 試着件数、生成速度、成功率、カテゴリ構成比はサーバー側の処理ログから全件集計。ファネル遷移、セッション数、利用端末データは各ストアフロントのウィジェット内計測によるものです。
- カート追加率の比較について: 同一期間内(4月16日〜6月30日)におけるセッション単位の相関データであり、厳密なABテスト環境による比較実験ではありません。試着機能を利用する層は元来エンゲージメントが高いため、「3.1倍」という数値は試着セッションの購買傾向を示すものであり、導入のみで全セッションの転換率が3.1倍に跳ね上がることを保証するものではありません。
- 時間・曜日別データ: UTC(協定世界時)を基準として集計しており、アクセス元のタイムゾーンに応じた個別調整は行っていません。
- シェア率の定義: ウィジェット内のシェアボタンのクリックおよび完了(OS標準の共有シート呼び出し、またはURLのクリップボードコピー)をもとに算出。シェアを受け取った側の閲覧行動は本期間の計測対象外です。
- 写真の再利用率: ウィジェット内の操作ログ(過去のアップロード写真を選択したか、新規アップロードを行ったか)に基づきます。
- メール収集機能: 各ストアごとの任意設定です。機能を有効化しているストアが期間中の全試着ボリュームの約99%を占めているため、全体の試着ユーザー数を分母として算出しています(有効化ストアに限定した場合の登録率は22.5%から22.7%となります)。
- すべてのデータは匿名化された統計値であり、個別の購入者を特定する情報や特定ストアの個別実績は含まれていません。
本レポートの引用について
Genlook「バーチャル試着レポート:2026年第2四半期の実態」(Shopify 577店舗の実測データに基づく調査、2026年4月16日〜6月30日) https://genlook.app/reports/state-of-virtual-try-on-2026-q2
各統計カードには固定のアンカー(例:#atc-lift、#median-speed)が割り振られており、直接リンクしていただけます。なお、カート追加率のデータを引用される際は、試着利用者がエンゲージメントの高い層である点や、数値があくまで利用セッションの傾向を示したものであるという文脈を併記していただくようお願いいたします。
次のステップ
バーチャル試着の導入が初めての方は、まずはバーチャル試着の仕組みと基礎知識をご覧ください。ツールの選定中であれば、各ツールの特徴や自社サービスの率直なデメリットも含めて解説したShopify対応バーチャル試着アプリ比較が参考になります。実際のストアでどのような成果が出るか試してみたい方は、Genlookを無料でインストールいただけます。
FAQ
疑問にお答えします。
バーチャル試着を導入すると、カート追加率はどのくらい上がりますか?↓
Shopify 577店舗を対象としたGenlookの2026年Q2データでは、試着を行ったセッションのカート追加率は29.2%に達し、試着なしのセッション(9.4%)と比べて3.1倍の差が見られました。ただし、試着を利用する顧客はもともと購買意欲が高い傾向があるため、この数字はツール導入による単純な改善幅というよりも「試着体験を行った高意欲セッションの転換実績」として捉えるのが正確です。
バーチャル試着を通じてメールアドレスなどのリードを獲得できますか?↓
非常に高い効果が期待できます。2026年Q2の実績では、Genlookのメール収集機能を活用したストアにおいて、試着を行ったユーザーの22.5%がメールアドレスを登録しました。フォームが表示されたユーザーに限定すると、じつに54%が登録を完了しています。「自分の試着結果を手元に残したい」という待ち時間は、連絡先を尋ねるうえで最も自然なタイミングとなります。
最も多く試着されているアイテムは何ですか?↓
アパレル・洋服が全体の87.4%と圧倒的なシェアを占めており、次いでアイウェア(3.7%)、水着(3.5%)、シューズ(1.9%)、帽子(1.4%)と続きます。またカタログ内では主力アイテムへの集中が顕著で、当四半期で最も試着された単一商品は、1アイテムだけで1,591回の試着を記録しました。
バーチャル試着が最も利用される時間帯や曜日はいつですか?↓
夕方から夜間、そして週末にかけて利用が活発になります。時間帯では15:00〜20:00 UTCにピークがあり、曜日別では日曜日が全体の16.3%を占めて最多でした。特定の日だけに極端に偏るのではなく、平日も日常的に使われながら休日に一段と伸びる傾向があります。
実際の現場でAI試着の生成にかかる時間はどのくらいですか?↓
2026年Q2における15万6,000件以上の試着データでは、生成時間の中央値は9.2秒でした。全体の95%が14.4秒以内に完了しており、生成成功率も98.6%と極めて安定しています。
顧客はPCとスマートフォンのどちらで試着していますか?↓
大半がスマートフォンです。試着セッションの90%がモバイル端末から行われており、デスクトップPCは8.8%、タブレットは1.2%にとどまります。UIや表示速度の検証は、必ずスマートフォン実機を基準に行うことを推奨します。
このレポートのデータの算出元はどこですか?↓
Genlookのバーチャル試着プラットフォームにおけるサーバーログ(生成件数、速度、成功率、カテゴリ内訳)と、2026年4月16日から6月30日までに稼働していたShopify 577店舗のストアフロントウィジェット解析データ(ファネル推移、セッション、利用端末など)をもとに算出されたファーストパーティデータです。