本ページでは、四半期ごとに更新される調査レポートの最新版をお届けしています。現在ご覧いただいているのは、2026年10月20日に公開された2026年第3四半期(Q3)版です。過去の調査結果は以前のエディションからご確認いただけます。
オンラインストアにバーチャル試着を導入すると、購買行動はどう変わるのか。本レポートでは、2026年7月1日から9月30日までに計測された890店舗、合計28万2,000回以上の試着実績をもとに、その疑問へ客観的なデータでお答えします。今四半期からはカート追加の先に踏み込み、試着後に実際に購入された商品や、購入を決めるまでの所要時間の追跡も開始しました。
これらの数値はすべて自社プラットフォームで直接計測したファーストパーティデータです。詳細な調査手法も末尾に明記しています。各指標には専用のアンカーを設置していますので、引用時にもご自由にお使いいただけます。
主なハイライト
調査対象データ
- 期間中に試着完了が1回以上あった890店舗(Q2の577店舗から拡大。Shopifyが874店舗、その他はWooCommerce、PrestaShop、Shopline)。
- 試着完了数はQ2比で81%増となる28万2,000回以上。約15万5,000人のユーザーが、約4万4,000点の対象商品を試着。
- ファッションアパレルを中心に、アイウェア、水着、シューズ、ウィッグ、ペット服など、世界各国の顧客を対象に集計。
試着を利用したセッションはカート追加率が2.9倍
約2,000万セッションのサイト閲覧データを分析したところ、試着を1回以上利用したセッションでのカート追加率は**33.3%に達しました。これに対し、試着を利用しなかったセッションのカート追加率は11.3%**にとどまっています。

この差は一部のメガストアによる偏りではありません。試着セッションが30件以上あった166店舗のうち、実に164店舗で「試着あり」のセッションが「試着なし」のカート追加率を上回りました。試着を利用するユーザーはもともと購買意欲が高い傾向にあるため、機能自体の効果に加えて利用者の自己選抜という側面もあります。いずれにせよ、バーチャル試着が最も購入意欲の高い見込み客を的確に捉え、後押ししていることは明らかです。
試着後に実際に購入されている商品
8月4日から9月30日までの集計期間において、直近30日以内に試着を行ったユーザーから総額143万ドル・1万4,000件の注文が発生しました。その注文の64%には、試着された商品そのものが含まれています。また、試着を経た注文の購入単価中央値は64ドルとなっており、同一店舗におけるその他の注文の中央値(52ドル)を上回りました。この金額差は、試着を利用するユーザーが高価格帯の商品を真剣に検討している背景を反映していると考えられます。
試着1回あたりの成果を見ると、試着全体の6.7%(約15回に1回)がその商品の直接の購入に結びついています。カテゴリ別ではワンピース・ドレスが7.9%と最も高く、アイウェアは4.1%と低めの数値が出ました。アイウェアは1つに絞り込む前に数多くのフレームを試す購買行動が要因と見られます。

なお、試着後に別端末へ切り替えて購入したケースなどは計測から除外されているため、この数値はあくまで最小値です。
意思決定の傾向:即決するか、後日戻るか

注文の3件に1件は、試着から15分以内に完了しています。1時間以内を含めると46%にのぼり、ユーザーが試着画像を確認後、商品ページに戻って同一セッション内でそのままチェックアウトしている行動が浮き彫りになりました。その一方で、全体の2割(約20%)は試着から1週間以上経ってから購入しています。試着結果をあとから確認できる機能(履歴保存、共有リンク、メール送信など)が、セッション終了後も長期間にわたって購入の後押しとして機能していることが分かります。
スタイル比較が成約率を押し上げる
ユーザーあたりの平均試着回数は1.8回で、全体の34%が複数回の試着を生成しています。2回目以降の試着の約半数は、すでにアップロードされた写真を再利用しており、ワンタップで次のコーディネートを確認しています。

3パターン以上のルックを比較したユーザーの注文率は、1回だけで終わったユーザーの2倍以上に達しました(21%対10%)。購入間近の顧客ほど吟味を重ねる傾向がある点も考慮すべきですが、2回目・3回目の試着をストレスなく試せる動線づくりこそ、最も購入見込みの高い顧客層へアプローチする最短ルートであることがデータから分かります。
離脱が最も発生しやすいのは写真の準備段階

ウィジェットを起動した33万以上のセッションのうち、**写真を追加したユーザーは41.9%**でした(Q2の39.7%から上昇)。そして写真を追加したユーザーの9割以上が、そのまま試着結果の確認まで進んでいます。分かりやすいガイド表示、プライバシー保護の明示、そしてアップロード済み写真の再利用機能がファネル改善の鍵を握っています。また、試着の92%がスマートフォン上で実行されているため、あらゆるUI設計や導線改善はモバイルファーストで検証すべきです。
生成速度:四半期末のアップデートで大幅に短縮

四半期全体を通じた生成時間の中央値は9.8秒、生成成功率は98.8%でした。さらに9月最終週に導入された新エンジンの効果により、中央値は5.7秒(写真アップロードと処理待ち時間を含めても8.1秒)まで大幅に短縮されました。注文の46%が1時間以内に発生している実態を考えると、生成中に離脱させず商品ページに引き留めておけるスピードは決定的な要素となります。
シェア機能・商品・国別の動向
- シェア機能: 試着を利用したユーザーの5.8%がシェアボタンをタップし(Q2の4.8%から増加)、そのうち64%が実際に送信を完了しました。知り合いが実際に着用したリアルな試着画像が、口コミとして直接友人に届けられています。
- 対象商品: 試着全体の88.5%をアパレルが占め、特にトップス(29%)とワンピース・ドレス(24%)が牽引しました。また、全体の60%はレディース商品です。さらに人気は売れ筋商品に集中しており、上位10%の商品が全試着の62%を集めました。
- 国別動向: 世界163カ国のユーザーがバーチャル試着を利用しました。国別利用数ではイタリア、英国、チリに続き、米国は4位となっています。これは導入ストアの販路構成を反映した側面もありますが、VTOの需要が決して米国市場特有のものではないことを示しています。

2026年Q3 主な指標まとめ
| 計測項目 | 2026年Q2 | 2026年Q3 |
|---|---|---|
| アクティブ導入店舗数 | 577 | 890 |
| 試着完了数 | 15.6万件以上 | 28.2万件以上 |
| カート追加率(試着ありセッション) | 29.2% | 33.3% |
| カート追加率(試着なしセッション) | 9.4% | 11.3% |
| 試着後に注文された商品の試着一致率 | 64% | |
| 同一商品の購入に至った試着の割合 | 6.7% | |
| 試着から1時間以内に完了した注文の割合 | 46% | |
| ウィジェット起動後に写真を追加したユーザー率 | 39.7% | 41.9% |
| モバイル端末からの試着割合 | 90% | 92% |
| 生成時間(中央値) | 9.2秒 | 9.8秒 |
| 試着画像をシェアしたユーザー率 | 4.8% | 5.8% |
調査手法・算出基準
- 集計対象期間: 2026年7月1日〜9月30日。なお、Q2(4月16日〜6月30日)より期間が約2週間長いため、全体のボリューム増には暦日数の差も含まれます。Q2の数値はQ2レポート公表時のデータです。
- 対象母集団: 期間中にGenlookウィジェット経由で1回以上の試着完了が確認された890店舗。VTOを導入するストアはトレンド志向のファッションブランドが多いため、本データはEC市場全体ではなく、試着機能を導入したストアにおける傾向を示しています。
- サーバー側データ: 試着回数、処理速度、生成成功率、カテゴリ、デバイス、写真の再利用、商品集中度などは四半期全体を網羅。生成速度はエンジン単体の処理時間、デバイスはブラウザのユーザーエージェントを基準に判定しています。
- フロントエンド側データ: ファネル推移、セッション数、カート追加、シェア、アクセス国は、7月21日から9月30日までのウィジェット解析データを使用(4日間のシステムメンテナンス期間を除く)。Cookieを拒否したユーザーは集計外です。アクセス国はIPアドレスに基づきます。
- カート追加率: セッション単位の相関データであり、厳密な対照実験(A/Bテスト)の数値ではありません。そのため、2.9倍という数値は「試着セッションの転換実績」であり、導入による一律のリフトアップを保証するものではありません。なお、アクセス数の多いストアでは商品閲覧のサンプリング処理を行っており、「試着なし」の数値が底上げされるため、実際の差はさらに開いている可能性があります。
- 注文データ: 注文アトリビューション機能が稼働した8月4日から9月30日までのデータを集計。注文完了前30日以内に同一店舗で試着を完了していた場合を「試着後の注文」と定義しています。キャンセルされた注文は除外し、金額は日次為替レートで米ドル換算、意思決定時間は最終試着からの経過時間で算出しています。
- 試着あたりの購入率・試着回数別の注文率: 30日間の追跡期間を均一に確保するため、8月4日から8月31日までの試着データを抽出して分析しました。注文商品に試着商品が含まれている場合に購入成立と判定しています。
- 本レポートの数値はすべて匿名化された集計データです。個人を特定できる情報や、特定ストア単体の個別データは一切含まれていません。
過去のレポート
本レポートの引用について
Genlook「バーチャル試着の現状:2026年第3四半期レポート」890店舗の実測データ(2026年7月1日〜9月30日) https://genlook.app/reports/state-of-virtual-try-on
上記のURLは常に最新版のレポートへ更新されます。今回のQ3データのみを恒久的に引用・リンクしたい場合は、アーカイブ版(https://genlook.app/reports/state-of-virtual-try-on-2026-q3)をご指定ください。各統計カードには固定アンカー(例:`#atc-lift`、`#product-match`、`#purchase-rate`)が設定されており、どちらのURLでも直接ジャンプできます。なお、カート追加率の比較データを引用される際は、試着利用者がもともと熱量の高い顧客である背景を踏まえ、あくまで「試着セッションの実績値」としての文脈を維持していただきますようお願いいたします。
関連リンク
バーチャル試着の仕組みや基本を知りたい方はバーチャル試着とは何かをご覧ください。アプリの選定でお悩みの方は、メリットや留意点を率直に整理したShopify対応試着アプリの比較記事が参考になります。また、自社ストアのカタログで効果を検証してみたい方は、Genlookを無料でお試しいただけます。
FAQ
疑問にお答えします。
バーチャル試着の導入でカート追加率はどのくらい向上しますか?↓
Genlookが計測した890店舗の2026年Q3データでは、試着を利用したセッションのカート追加率は33.3%に達し、試着なしセッションの11.3%と比較して2.9倍の差を記録しました。また、試着セッションが30件以上あった166店舗中164店舗で同様のプラス傾向が見られました。ただし、試着を利用するユーザー自身が購入意欲の高い層であるため、この数値は「ウィジェット設置による売上アップの確約」ではなく、「試着ユーザー群のコンバージョン実績」として捉えるのが実態に即しています。
ユーザーは試着した商品をそのまま購入していますか?↓
大半がその商品を直接購入しています。2026年8月4日から9月30日までに試着を経て発生した1万4,000件の注文のうち、64%に試着された商品そのものが含まれていました。また、試着後の注文単価中央値は64ドルとなり、同一ストアにおける通常の注文単価(52ドル)を上回っています。
試着全体のうち、実際の購入に至る割合はどのくらいですか?↓
試着全体の6.7%(約15回に1回)が、30日以内に同一商品の購入へとつながっています。カテゴリ別ではワンピース・ドレスが7.9%と最も高く、複数アイテムの比較検討が多いアイウェアは4.1%でした。なお、端末の切り替えなど追跡が途切れたケースは除外されているため、実際にはこれ以上の割合が存在すると推測されます。
試着から注文完了まで、どれくらいの時間がかかりますか?↓
全体の3分の1(約33%)の注文は最終試着から15分以内に完了しており、1時間以内を含めると46%に達します(意思決定時間の中央値は2時間)。一方で全体の約20%は、試着画像を保存したり後から見返したりして、1週間以上経ってから購入を完了しています。
実際のストア運用におけるAI試着の生成スピードは?↓
2026年Q3期間中の生成時間中央値は9.8秒、生成成功率は98.8%でした。さらに9月最終週に新世代エンジンへ切り替わったことで、中央値は5.7秒まで短縮されています。
本レポートのデータソースはどこですか?↓
Genlookのバーチャル試着プラットフォームで記録された一次データに基づいています。2026年7月1日から9月30日までの期間中、稼働中の890店舗から収集されたサーバーサイド生成ログ、ストアフロントでのウィジェット計測値、および注文アトリビューションデータを集計したものです。自社開発ツールならではのファーストパーティデータであり、計測手法や前提条件もすべて開示しています。